広大な敷地と重厚な洋風建築群を目の当たりにした来訪者の多くが抱くのが、「なぜ入園料も駐車料金も取らずに経営が成り立つのか」という疑問です。その背景には、単なる公共サービスの枠組みを超えた高度なエリアマネジメントと事業構造の転換が存在します。
当施設はもともと1993年、神戸市の都市農業振興と市民の憩いの場を目的とした農業公園型テーマパークとして開園しました。しかし、バブル崩壊後のレジャー需要変化に伴い来園者数が低迷。そこで神戸市と運営事業者は2017年、国土交通省の「道の駅」制度を活用した大規模リニューアルを断行しました。この際、ゲートで一括徴収していた入園料を撤廃し、約1,500台分の駐車場を無料開放する戦略へと舵を切ったのです。
この転換によって導入されたのが、入園ハードルを極限まで下げることで広域から集客し、園内の滞在消費で収益を上げるフリーミアム型の回遊モデルです。来園者は施設へ自由に出入りできる一方、地産地消のマーケット「ファームサーカス」での購買や飲食、アトラクションごとの利用料、日帰り温泉の入浴料、果物狩りの体験料、夜間イルミネーションの入場料などを個別に支払います。入場無料化によってファミリー層やシニア層のリピート訪問率が跳ね上がり、施設全体の客単価と総売上高が向上する好循環が構築されています。