長男の桑田祐宜氏は、両親のDNAを色濃く受け継ぎ、自らもミュージシャンとしての道を志しました。しかし、その歩みは典型的な「二世タレント」の枠組みとは一線を画すものでした。
学生時代からギターや作曲に没頭していた祐宜氏は、当初「桑田佳祐の息子」という肩書を徹底的に隠してライブハウスを中心に活動を開始しました。親のコネクションを使えば容易に大手レーベルからのデビューが叶う環境にありながら、あえて厳しいインディーズの世界で自らの腕を磨く選択をしたのです。
2010年代初頭、ロックバンド「READ ALOUD(リード・アラウド)」を結成。祐宜氏はボーカル&ギターとしてフロントに立ち、2012年にミニアルバム『ARES』でメジャー進出を果たします。この際も、バンド側から親の名前を大々的にアピールすることは一切ありませんでした。
READ ALOUDが提示したサウンドは、オルタナティブ・ロックやグランジの要素を多分に含んだ重厚かつストレートなロックでした。父親のサザンオールスターズが持つキャッチーな歌謡ロックとは趣を異にし、ハスキーでエモーショナルな歌声は「純粋な一人のロックボーカリスト」として音楽通の間で高く評価されました。
2015年にREAD ALOUDが解散した後も、祐宜氏は音楽への情熱を絶やすことなく、楽曲制作やソロワーク、サポート活動など多角的なアプローチで自身の音楽表現を継続しています。名声を追うのではなく、音楽そのものと誠実に向き合い続ける姿勢は、音楽関係者の間でも厚い信頼を獲得しています。