インターネット上の掲示板や一部の指導書には、「2月の月案には1歳児クラスの生活リズムに完全移行するための手順を書くべき」という言説が散見されます。しかし、これは小児発達心理学および現代保育理論から見て明確な誤りです。
英国の精神分析医ジョン・ボウルビィが提唱した「愛着理論(アタッチメント理論)」によれば、乳幼児が未知の集団に適応するための原動力は、「無条件に自分を受け止めてくれる安全基地の存在」です。生後10か月から1歳前後は、まさにこの愛着対象への依存が最も強固になる時期にあたります。
この段階で「もうすぐ1歳児だから」と、本人が眠気を感じている午前の睡眠を無理にカットしたり、手づかみ食べを制止してスプーンを握らせ続けたりすると、子どもは慢性的なストレス状態に陥ります。その結果、3月や進級直後の4月に「激しい後追い」「夜泣き」「他児への噛みつき」といった強い退行現象を引き起こすリスクが高まるのです。
真に質の高い月案とは、「1歳児の基準を押し付ける計画」ではなく、「今ある発達を豊かに保障した結果として、自然と次のステップへ向かわせる計画」にほかなりません。書類上も「一斉移行」という表現は避け、「個々の睡眠リズムの推移を見守りながら、体力がついてきた児から順次午睡を一本化していく」といった柔軟性のある記述を貫く必要があります。