YouTubeやSNSのショート動画では、「数時間で和室がカフェ風に大変身」といった置くだけフローリングDIYの成功談が華々しく拡散されています。しかし、現場検証や大手コミュニティ掲示板に投稿された利用者の生々しい手記を精査すると、画面に映らない現実が見えてきます。
賃貸住宅でウッドカーペットを畳の上に2年間敷き詰めていた都内在住の男性(30代)は、退去時の惨状を次のように振り返っています。「退去立ち会いのためにカーペットを巻き上げた瞬間、強烈なカビ臭が立ち込めました。い草は青黒く変色し、白カビの胞子が絨毯裏一面にこびりついていたのです。結局、畳の全額弁償を求められ、安く済ませるはずが10万円以上の追加請求となりました」。
また、本格的なDIYに挑んだ持ち家オーナーの間でも、「畳の厚み」に対する認識不足によるトラブルが頻発しています。畳の厚さは一般的に50mm〜60mmあるのに対し、フローリング材はわずか12mm前後しかありません。畳を外しただけの空間にそのままフローリングを敷くことは不可能であり、敷居との間に約40mmもの深い段差が生じてしまいます。
この段差を解消するためには、等間隔に木材を渡す下地処理と根太調整が必須となりますが、築年数を経た住宅の床下は必ずしも水平ではありません。ミリ単位の狂いを測りながらクサビやスペーサーで高さを合わせる「不陸(ふりく)調整」は、熟練の職人でも神経を使う領域です。水平調整を怠ったDIY床は、歩くたびに床鳴りがギシギシと響き、数年で板の接合部(サネ)が割れて浮き上がる結果に終わります。さらに部屋の出入り口には、隣室との高低差を綺麗に納める段差解消見切り材の精密な加工が不可欠であり、これらを素人が完璧に仕上げるには極めて高い技術的ハードルが存在します。