レックスを語る上で欠かせないのが、その外見と内面の強烈なミスマッチです。トイストーリーにおけるレックスの恐竜の種類は、白亜紀末期に生態系の頂点に君臨した最強の肉食恐竜「ティラノサウルス(T-REX)」。鋭い牙と頑丈な顎、逞しい体躯を備えながら、作中で描かれるトイストーリーのレックスの性格は、絵に描いたような臆病者で極度の心配性です。
ピクサーの制作陣は、子どもたちが抱く「獰猛で怖い恐竜」というステレオタイプを鮮やかに覆すキャラクター設計を行いました。その象徴が「極端に短い腕」への強い劣等感です。手が短いためにウッディに抱きつくこともできず、驚かそうとしても迫力不足を嘆く姿は、観客の庇護欲を激しく刺激します。
心理学的な観点から分析すると、レックスの愛らしさは「不完全性の開示」に起因しています。威圧的な容姿を持ちながら、自分の弱点や不安を包み隠さず吐露する姿勢は、現代のコミュニケーション論でいう「心理的安全性」を周囲にもたらします。失敗を恐れてオロオロする姿は、完全無欠なヒーローにはない親近感と共感を生み出し、トイストーリーのレックスがかわいい理由としてファンの間で確立されています。