本作のタイトルである『ぬらりひょんの棲む家』は、単に不気味な居座り男を妖怪になぞらえただけではありません。「本当に恐ろしいのは、見知らぬ怪異を受け入れてしまう人間の心の脆さや、家庭内に潜在していた悪意そのものではないか」という鋭いテーマ性が込められています。
藤石波矢氏による原作小説では、修平のモノローグや心理的な駆け引きが緻密な筆致で描かれており、家族が少しずつ変貌していくリアリティが読者をじわじわと追い詰めます。一方、西塚em氏による漫画版(全巻完結)では、小泉の得体の知れない表情や、狂気に染まっていく和美たちの歪んだ視線が視覚的に強調され、ホラーサスペンスとしての衝撃度が格段に増しています。
原作の持つ心理描写の深みと、コミカライズ版の持つ圧倒的な視覚的恐怖が融合したことで、本作は単なる侵入者系スリラーを超えた傑作へと昇華されました。