ネット上のレシピや料理動画で長年信じ込まれている典型的な誤解に、「三温糖は上白糖よりミネラルが豊富で太りにくい」「健康のために三温糖を大さじ多めに入れている」という言説があります。
製糖業界の製造工程を調査すると、この健康神話の虚構性が明らかになります。三温糖の茶色い色合いは、黒砂糖のように未精製のミネラルが残っているからではありません。上白糖やグラニュー糖を精製して結晶を取り出した後の「残りの糖液」を、何度も加熱して煮詰める過程でカラメル化(熱分解による着色)して生まれた色です。
成分表を比較しても、上白糖と三温糖のカルシウムやカリウムの差は微々たるものであり、大さじ1杯あたりの重量(約9g)も、カロリー(約35kcal)も実質的に全く同一です。三温糖を使うメリットは、健康効果ではなく、加熱によって生じた特有の香ばしさとコクを煮物や照り焼きに付与できる点にあります。「三温糖だから安心」とスプーンの量を増やすと、単純に過剰な糖分摂取につながるため注意が必要です。