『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のラストシーン、大人へと成長した碇シンジとマリが手を繋ぎ、宇部新川駅の階段を駆け上がっていく結末は、シリーズを総括する象徴的なエンディングとなりました。長年ファンが議論してきた綾波レイや式波・アスカ・ラングレーではなく、マリがシンジの隣に立った理由には、作品の根源的なテーマが色濃く反映されています。
レイはシンジにとって母性の投影であり、アスカは同じ傷を抱えた同族でした。もしシンジが彼女たちと結ばれれば、過去のトラウマやエヴァという閉じた世界観の内側にとどまり続けることになります。一方でマリは、シンジの過去の呪縛に囚われていない完全なる「外の世界の他者」でした。
「どこにいても必ず迎えに行く」という約束通り、マイナス宇宙の果てまでシンジを迎えに行き、DSSチョーカーを外したマリ。彼女の存在こそが、シンジをエヴァの世界から解放し、地に足のついた現実の日常へと導く不可欠な鍵となったのです。