脊髄損傷を患った際、患者や医療者が最も注視するのが「将来的に再び歩くことができるのか」「自立した排泄機能を取り戻せるのか」というブラウン・セカール症候群の予後に関する現実的な見通しです。
日本脊髄障害医学会などの臨床統計データによると、脊髄損傷全体の中で純粋なブラウン・セカール症候群が占める割合は全体の約2%〜4%と決して高くありません。しかし、完全横断性損傷や前部脊髄症候群などの他の重篤な脊髄症候群と比較した場合、その神経機能回復率は際立って良好であることが実証されています。
多施設共同研究の追跡調査データによれば、ブラウン・セカール症候群を発症した患者の約8割が受傷後6カ月〜1年以内に補助具を用いた独歩または自立歩行を達成しています。また、排尿や排便をコントロールする膀胱直腸障害についても、初期には半数程度に見られるものの、片側の自律神経経路が温存されていることから、最終的に自己排尿を獲得できる確率は70%を超えます。
この高い回復率は、健側の脊髄組織が残存していることに加え、中枢神経の可塑性によって残された神経ネットワークが機能代償を果たすためであると神経内科の専門医らは分析しています。