ウェブやSNS上には「このテーピングで肉離れの痛みが消える」「巻くだけで瞬時に全快」といった過激なキャッチコピーが散見されます。しかし、現代のスポーツ医学において、テーピングは損傷した筋線維を瞬時に再結合させる魔法の包帯ではありません。
肉離れ(筋挫傷)は、筋線維や筋膜の微細断裂から部分断裂、完全断裂までグラデーションが存在します。受傷から48〜72時間の急性炎症期においては、テーピングで走ることを試みるのではなく、患部の冷却・圧迫・保護を優先するのが絶対原則です。歩行時に明らかな跛行(足を引きずる動作)がある段階や、患部に陥凹(へこみ)が触れる重度の筋断裂に対して、伸縮テープを貼って競技出場を強行することは、組織の瘢痕化を招き、選手生命に関わる重篤な再断裂リスクを生み出します。
テーピングはあくまで、医学的な診断と適切なリハビリテーションを経た選手が、「競技復帰へ向けた負荷漸増期」や「疲労による張りを軽減させるコンディショニング期」に活用して初めて真価を発揮する補助具であると認識すべきです。