「人の内面は見た目に表れるのか」という問いに対し、かつて江戸時代の人相学や19世紀の骨相学(ロンブローゾの生来性犯罪者説など)は、頭蓋骨の形や鼻の高さといった固定的な造作で善悪を決めつけようとしました。これらは科学的根拠を欠く疑似科学として完全に否定されましたが、認知心理学や進化心理学の発展により、まったく別の角度から人相学の科学的根拠が再評価されています。
米プリンストン大学のアレクサンダー・トドロフ教授らの研究チームが発表した顔面知覚モデルによると、人間は未知の人物の顔写真を見た際、わずか33〜100ミリ秒(0.1秒未満)の超短時間で「信頼できるか」「支配的か」「攻撃的か」を無意識に判定しています。この超高速の直感判断は、人類が進化の過程で敵対的な侵入者や裏切り者から身を守るために発達させた生存本能(扁桃体の警告シグナル)に由来します。
さらに、顔の縦横比(fWHR:Facial Width-to-Height Ratio=顔の横幅÷縦の長さ)に関する生物学的研究でも、男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が多い個体ほど顔幅が広くなり、同時に攻撃性やマキャベリアン的な狡猾さが高くなりやすい相関が報告されています。また、後天的な心理ストレスや感情の慢性的な抑制は顔の左右非対称性(心理的アシンメトリー)となって現れるケースが多く、無意識の表情筋の緊張が「底知れぬ違和感」を醸成するのです。