裏切りに対する精神的苦痛への損害賠償である浮気慰謝料の相場と請求手順は、事態の結末によって金額が大きく変動します。法的な相場は以下の通りです。
- 婚姻関係を継続する場合(離婚しない):50万〜150万円程度
- 浮気が原因で別居に至った場合:100万〜200万円程度
- 浮気が原因で離婚に至った場合:150万〜300万円程度
請求先はパートナーだけでなく、浮気相手に対しても共同不法行為者(民法第709条・第710条)として連帯責任を追及できます。浮気相手へ直接請求を行う際、最も実務的かつ強力な第一歩となるのが浮気相手への内容証明郵便の送付です。
内容証明郵便は、郵便局が「誰が、誰宛てに、どのような内容の手紙を、いつ送ったか」を公的に証明する制度です。弁護士名義で送付することで、「こちらは本気で法的措置を辞さない構えである」という強い心理的威圧感を与え、相手を速やかに示談交渉のテーブルに着かせる効果があります。
しかし、ここには重大な落とし穴が存在します。感情に任せて以下のような暴挙に出ると、被害者であるはずの側が刑事告訴や損害賠償請求を受ける立場へ逆転してしまいます。
- 職場への凸撃・暴露:浮気相手の会社に電話をかける、職場に乗り込む、怪文書をばら撒く行為は「名誉毀損罪(刑法第230条)」や「業務妨害罪(刑法第233条)」に該当し、相手から数百万単位の損害賠償を請求される恐れがあります。
- SNSやネット上での晒し行為:相手の実名や顔写真、LINE画面をX(旧Twitter)やInstagramに投稿する行為は、著しいプライバシー侵害および名誉毀損となります。
- 法外な金額の脅迫的請求:「1000万払わなければ親族や会社にバラす」といった言動は、恐喝罪(刑法第249条)に問われるリスクがあります。
もう一つの見落としがちな盲点が「求償権(きゅうしょうけん)」の問題です。慰謝料はパートナーと浮気相手の2人で連帯して支払う義務があるため、浮気相手だけに200万円を請求して全額回収しても、浮気相手が後からパートナーに対して「半分(100万円)を負担しろ」と請求する権利を持ちます。夫婦関係を継続する場合、家計としては100万円が戻ってしまう計算になるため、示談書を取り交わす際には必ず「求償権の放棄条項」を明記させることが実務上の鉄則です。