家康のビジュアル表現は、時代によって劇的な変遷を遂げてきました。家康の肖像画は大きく分けて、生前の面影を色濃く残す「写実的肖像画」、合戦の武勇を伝える「武者姿」、そして没後に神として描かれた「東照大権現像」の3種類に大別されます。
江戸時代、家康は日光東照宮をはじめとする各地の東照宮で神として崇められたため、公に描かれる姿は束帯(貴族の正装)を身にまとった威厳ある神像が主流でした。庶民が勝手に将軍家の祖を描くことは厳しく制限されていたため、現在のように生々しい人間味あふれる描写が一般に広まることは稀でした。
明治維新を経て近代に入ると、幕府の呪縛から解放された歴史研究が進み、彫刻家たちによって「苦難を忍耐で乗り越えたリアリズムの英雄」としての銅像が各地に建立されるようになります。戦後の高度経済成長期から現代にかけては、地域の観光シンボルや大河ドラマの放映記念事業として再評価が進み、人間・徳川家康の苦悩やリーダーシップを表現した躍動感ある彫像が次々と誕生しました。