どれほど優れたテキストやシステムがあっても、それを伝える人間の熱量と技術が伴わなければ、長期間のハードな受験勉強を乗り切ることはできません。伊藤塾が他校の追随を許さない最大の要因は、受験界のトップランナーとして君臨する実力派講師陣の存在にあります。
その筆頭が、入門講座の看板を背負い続けてきた山村拓也講師の経歴と指導法です。2004年に司法書士試験に合格した山村講師は、合格直後から伊藤塾で教壇に立ち、20年以上にわたり数千人規模の合格者を直接送り出してきました。同氏が自身の受験生時代の試行錯誤から体系化し、司法書士試験の対策法に革命をもたらしたのが「記述式答案構成力メソッド」です。
司法書士試験の午後の部は、3時間という極限のタイムプレッシャーのなかで、択一式35問と膨大な分量の記述式(不動産登記法・商業登記法)2問を処理しなければなりません。山村講師のメソッドは、問題文や別紙の登記事項証明書を読み進めながら、権利の変動関係や株式会社の機関設計の推移を「独自のルールに基づく構成用紙(メモ)」へと瞬時に図式化する技術です。これにより、別紙を何度も見返すタイムロスと、致命傷になる「枠ズレ(記載箇所のミス)」や添付書面の書き漏れを物理的に防ぐことができます。
また、山村講師が多くの受講生から慕われる理由は、技術論だけでなくメンタルマネジメントの深さにあります。自身が受験生時代に模試で思うような結果が出ず苦しんだ経験から、講義の節目や特別講演、さらには自著のなかで「やればできる、必ずできる」「本試験の最後の1秒まで絶対に諦めない者が合格を掴み取る」と、受講生の目を見て力強く語りかけます。直前期の孤独とプレッシャーに押しつぶされそうな夜、この言葉を支えに机に向かい続けたという合格者の声は枚挙にいとまがありません。
そして、山村講師と並び立つもう一人の絶対的エースが、宇津木卓磨講師です。2011年に合格し、実務家としての知見も兼ね備える宇津木講師は、市販の受験書としても異例の大ベストセラーとなっている『うかる! 司法書士 必出3300選』シリーズの著者としても知られています。
宇津木講師の講義スタイルは、極めてクールかつ合理的です。分厚いテキストのなかから「ここは過去20年で1回しか出ていないから見なくていい」「この表の3行目だけ今この場で覚えてください」と、試験に出る箇所と捨てるべき箇所をメスで切り分けるように明確に指示します。声のトーンや話すスピードが一定で聞き疲れせず、無駄な雑談を排してコンパクトに要点だけを突き刺す講義は、1分1秒を惜しむ社会人受験生から熱狂的な支持を集めています。