伝統的な自然石を使用する一方で、現代のトップトーナメントで投じられるストーンには最先端のエレクトロニクスが凝縮されています。その象徴が、取手部分に内蔵された「アイ・オン・ザ・ホグ(Eye on the Hog)」と呼ばれるハイテクセンサーシステムです。
カーリングには「ホグライン違反」という厳格な反則が存在します。投球者は、手前の氷上に引かれたホグライン(反則ライン)をストーンが完全に越える前に、石のハンドルから手を離さなければなりません。かつては審判がライン際で目を凝らして目視判定していましたが、トップ選手の高速リリースでは誤審を巡るトラブルが度々起きていました。
これを解消するために開発されたハンドルには、人間の手の接触を微弱な静電容量で感知するタッチセンサーと、氷の下に埋め込まれた磁気マーカーを読み取る磁気センサーが組み込まれています。投球者がライン手前で正しく手を離せばハンドル上のLEDランプが緑色に点灯し、万が一わずかでも手が触れたままラインを通過した場合は即座に赤色に点滅して反則を告げます。
伝統あるスコットランドの無人島から切り出された花崗岩と、ミリ秒単位の物理判定を下すデジタルセンサー。この2つが違和感なく融合している点こそ、現代カーリングという競技が持つ奥深い魅力です。