18億円という予算は、邦画のスケール感としては破格である。だが、ハリウッドの数百億円規模のSF大作を見慣れた現代の観客にとって、作中に登場する火星の風景やテラフォーマーたちの描画はあまりにも平坦に映った。
セット撮影を中心とした火星の風景は、砂利と岩が配置されたスタジオの空気が画面越しに伝わってしまうほど奥行きに欠けていた。さらに、不気味な進化を遂げた害虫人間・テラフォーマーたちのモデリングも、群体としての脅威や圧倒的な恐怖感というより、どこかコミカルな動きが目立ち、観客の恐怖心を殺いでしまった。CG技術そのものの限界というよりは、画面全体の色彩設計や光の当て方が「映画的な重厚さ」を醸し出すことに失敗していたと言わざるを得ない。