リング上では「悪魔」として恐れられた彼女だが、本名の「松本香取」としての素顔は、驚くほど心優しく、情に厚い人物として知られている。元々はクラッシュギャルズのような華やかなアイドルレスラーを目指して全日本女子プロレスの門を叩いたものの、落ちこぼれとして苦悩の日々を送っていた。生き残るために悪役に転向し、過激なパフォーマンスで一躍時代の寵児となったが、その裏で支払った代償は極めて大きかった。
街を歩けば罵声を浴びせられ、実家には落書きをされ、家族にも肩身の狭い思いをさせた。それでも彼女は、リングに上がれば一切の迷いを捨ててダンプ松本になりきった。自分が嫌われれば嫌われるほど、対峙するライバルたちが輝く。その自己犠牲とも言えるプロ意識こそが、彼女のレスラー生命を支えていた本質だった。