ホームベーカリーで米粉パンを焼いた際によくあるトラブルが、「ういろうのように重くネチャつく」「カチカチに固くなる」「焼き上がりに真ん中が陥没する」という3大現象です。これらのトラブルには明確な物理的・化学的理由が存在します。
米粉100パーセントのパンが固くなる最大の理由は、米粉にグルテンが含まれていない点にあります。小麦粉パンはグルテンの網目構造がイーストの発する炭酸ガスを包み込んでふんわりと膨らみますが、米粉単体ではガスを保持できません。気泡を閉じ込める粘度が足りないとガスが抜け落ちてういろう化し、逆に発酵過多で気泡が大きくなりすぎると、焼成中に支えきれず頂部が陥没してしまいます。
また、ホームベーカリーで米粉パンが膨らまない原因として見落とされがちなのが「デンプン損傷度」と「水温」です。一般的な料理用・製菓用の米粉は米を粉砕する際の熱や摩擦でデンプンが傷ついており、水を吸いすぎて生地がドロドロになり膨らみを阻害します。さらに、仕込み水の温度が低すぎると発酵が進まず、高すぎるとイーストが死滅するため、季節に応じた水温調整(冬場は約25〜30℃のぬるま湯、夏場は5〜10℃の冷水)が不可欠です。