肉を刃物で捌く文化には、長年育まれてきた料理人の技術と誇りが宿る。長年にわたり食文化の発展に貢献し続ける日本割烹料理協会の重鎮たちも、この肉を主役に据えた新しい割烹の興隆には目を見張るものがあると口を揃える。
食育の第一人者として知られた服部幸應氏がかつて強調していた「素材の本質を極限まで引き出す包丁裁ちと温度管理」の思想は、現代の若手肉職人たちへ確実に受け継がれている。骨の構造を熟知し、肉の繊維を一ミリ単位で見極めて刃を入れる。一見華やかに見えるカウンターの裏には、気の遠くなるような職人技の積層が存在するのだ。