分光観測が明かすデータは、実に異様だ。太陽系の彗星や小惑星が見せる化学的シグネチャーとは明らかに異なる元素比率が、次々と検出されている。重水素と水素の比率、あるいは異常なほど豊富な一酸化炭素や有機物分子の存在。これらは、その天体が誕生した「故郷の星系」がどんな環境だったかを雄弁に物語る。
例えば、過酷な連星系の重力格闘によって外へと放り出されたのか。それとも、超新星爆発の衝撃波によって破壊された惑星の破片なのか。私たちが地上や宇宙望遠鏡から捉えるわずかな光のスペックルの中に、遥か彼方の恒星系で起きた壮大なドラマの破片が刻まれている。ひとつの岩石を分析することが、見たこともない系外惑星の内部構造を間接的に掘り起こす作業と同義なのだ。