七五三掛の読み方である「しめかけ(または濁音の『しめがけ』)」を知った際、多くの人が抱く最大の疑問は「なぜ七五三と書いて『しめ』と読ませるのか」という点でしょう。
この謎を解く鍵は、古来より日本に根付く神道儀礼の注連縄(しめなわ)の形式にあります。神社や神棚に飾られる注連縄には、藁の茎を左から順番に「七本」「五本」「三本」と垂れ下げる伝統的な作法(七五三垂=しめづぼ)が存在します。奇数は古代中国の陰陽思想において「陽の数」とされ、めでたい吉数と尊ばれてきました。そこから転じて、「七五三」という漢字の組み合わせ自体に「しめ」という訓を当てる習慣が中世以降に定着したとされています。
そして後半の「掛」は、文字通り「注連縄を掛けて神聖な境界(結界)を築く場所」を意味します。つまり、七五三掛の本来の意味は「神の領域と俗世を隔てる注連縄が張られた神聖な土地」。単なる珍しい語呂合わせではなく、古代から中世の神道信仰と土地の聖域性が凝縮された、極めて由緒ある名字なのです。