名作の裏側には、キャスト陣の並々ならぬ執念がありました。特筆すべきは、大沢たかおと内野聖陽という二大実力派俳優の化学反応です。
現場での二人は、馴れ合うことなく互いの演技を高め合う緊迫した関係性を保っていました。現代医学を武器に過酷な江戸で孤軍奮闘する南方仁と、仁の技術に日本の未来を見出し全身で守ろうとする坂本龍馬。ドラマ内の絆そのままに、リハーサルから本番に至るまでアドリブ混じりの激しい芝居の応酬が繰り広げられたといいます。
また、視聴者を唸らせたのが内野聖陽の土佐弁の完璧な発音とリズムでした。内野さんは方言指導の録音テープを通勤中も就寝前も擦り切れるほど聞き込み、撮影期間中は日常会話の段階から土佐弁で過ごすほどの徹底ぶりを見せました。単に言葉をなぞるのではなく、感情の昂ぶりとともに自然と喉から飛び出す生きた方言へと昇華させたことが、あの鬼気迫るリアリティを支えていたのです。
さらに日曜劇場JIN撮影秘話として有名なのが、内野さんの徹底したビジュアル作りです。メイク時間短縮のために自ら日焼けサロンに通って肌を浅黒く焼き、長髪の乱れや着物の汚れ方に至るまで自ら現場スタッフと細かく調整を重ねていました。