近年のサスペンス・ミステリージャンルにおいて、観客の目を釘付けにした名作『クジャクのダンス、誰が見た』。本作はその重厚な世界観と予測不能な展開の遺伝子を正統に継承しつつ、さらに鋭く現代社会の暗部へ切り込む。
「誰が見た」のかという問いかけが提示する真実の行方、裏切りと執念が入り乱れる人間ドラマ。視覚的なトリックだけでなく、観る者の心理を揺さぶる叙述トリック的な演出が要所に散りばめられている。観客はスクリーンに隠されたわずかな違和感を追いかけながら、最後まで誰が味方で誰が敵なのか確信を持てないまま物語に引き込まれていく。