出演者発表後のネット空間は、まさに大衆心理が渦巻く巨大な実験場です。「紅白出場歌手ネットの反応」を分析すると、X(旧Twitter)や各種掲示板では、推しグループの初出場に涙する歓喜の声があふれる一方、「知らないアーティストばかりでついていけない」という中高年層の困惑や、「実質的なセールスと合致していない」という厳しい選考批判が同時に噴出します。
こうした世論の分断を巧みに中和する装置として機能するのが、「紅白特別企画サプライズ枠」と、年末直前に明かされる「紅白タイムテーブル曲順発表」です。
今回の第76回でも、トップバッターにはフレッシュな勢いを持つCANDY TUNE(紅組)と、親しみやすさと確かな歌唱力で会場を巻き込む新浜レオン(白組)が抜擢。オープニングから一気に祝祭感を煽る設計が取られています。そして番組後半から大トリにかけては、石川さゆりら大御所の重厚なステージが構えられ、世代間のギャップを時間軸によって見事に融和させています。
さらに、12月中旬以降に追加発表される「特別企画」は、本戦の枠組みでは収まりきらない周年記念アーティストや、海外からの大物ゲスト、さらには引退・活動休止前の伝説的ミュージシャンを招致するための「切り札」です。本戦出場者の賛否が割れたとしても、最終的に特別枠の圧倒的な話題性で全世代をお茶の間に引き戻すという構成の妙が、長年培われたNHKの演出ノウハウと言えます。