「地方消滅のカウントダウンが始まった」という絶望的な見出しと、「若者の地方回帰ブーム」という明るい話題。一見すると矛盾する2つの言説が同時に語られる背景には、地方間における過酷な「勝者と敗者の選別」が存在します。
民間有識者らでつくる人口戦略会議が提示した地方消滅 自治体リストには、全国の自治体の約4割に相当する744市町村が名を連ねました。20歳から39歳までの若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少するという推計値は、地方行政に強烈な打撃を与え続けています。長年叫ばれてきた東京一極集中 是正 課題は、首都圏への転入超過が依然として高水準で推移する中で、根本的な解決に至っていません。
しかしその真裏で、総務省の調査や移住支援窓口の集計データを見ると、20代から30代による移住相談件数は数年前と比較して高水準を維持しています。ここで注目すべきは、地方移住 若者 理由の質的変容です。以前のような「リタイア後のスローライフ」ではなく、「過剰な消費社会からの脱却」「子育て環境の最適化」「地方資源を活用した起業」といった明確で実利的な目的意識を持つ現役世代が、特定の受け入れ態勢が整った町へピンポイントで移動しています。
取材に応じた30代の元大手IT企業勤務の男性は、地方を選んだ理由についてこう告白します。
「東京では年収800万円あっても、狭い賃貸マンションと満員電車に追われ、何のために働いているのか見失っていました。地方に移り住んで生活コストを半分以下に抑えながら、リモートワークと副業の地域商社ビジネスを両立させたことで、初めて人生の主導権を取り戻せたと実感しています」
つまり、「地方全体が一律に消滅している」わけでも「全国津々浦々に若者が溢れている」わけでもありません。何の手も打てずに座して死を待つ地域と、若者にとっての自己実現の舞台へと変貌を遂げた地域との間で、残酷なまでのコントラストが生じているのが現在の偽らざる実態です。