果物の中には、飼い主のわずかな不注意が取り返しのつかない事態を招く「猛毒フルーツ」が存在する。その代表格が、犬が食べてはいけない果物の筆頭に挙げられるぶどうと干しぶどう(レーズン)である。
犬 ぶどう 中毒 理由の深層メカニズム
犬がぶどうを摂取した際に起きる中毒症状については、長年「カビ毒(オクラトキシン)」や「残留農薬」などの仮説が乱立していた。しかし、近年の米国動物虐待防止協会(ASPCA)中毒管理センターらの研究報告により、ぶどう果実に高濃度に含まれる「酒石酸(Tartaric acid)」が主要な中毒原因物質であることが極めて有力視されている。
犬は酒石酸に対する代謝・解毒能力が著しく低く、摂取後わずか数時間から12時間以内に激しい嘔吐や下痢を発症する。病態が進行すると、24〜48時間以内に乏尿や無尿を伴う急性腎不全へと移行し、救命処置が遅れれば死に至るケースも珍しくない。特にレーズンは水分が抜けて有効成分が凝縮されているため、小型犬であれば数粒口にしただけで致死量に達する恐れがある。
犬 桃 種 危険性 真相と消化管閉塞の恐怖
夏の味覚として親しまれる桃やすもも、ビワ、アンズにも重大な落とし穴が潜んでいる。問題となるのは果肉ではなく、中心部に存在する巨大で硬い「種」だ。ここには二重の物理的・生化学的リスクが存在する。
第1のリスクは「アミグダリン」と呼ばれる青酸配糖体である。種子の仁(中心部)を噛み砕くことでアミグダリンが胃酸や消化酵素と反応し、猛毒のシアン化水素(青酸)を発生させる。これにより細胞呼吸が阻害され、呼吸困難や痙攣、最悪の場合は心肺停止を引き起こす。第2のリスクは「消化管閉塞」だ。小型犬が桃の種を丸呑みした場合、胃の幽門部や小腸に種が引っかかり、緊急開腹手術を余儀なくされる事態が動物病院で毎年多発している。