あのスクープが業界に与えた真の衝撃は、個人の恋愛問題にとどまらず、巨大芸能プロダクション同士のパワーバランスを揺るがした点にあった。松田聖子を大切に育て上げ、看板スターとして守り抜いてきたサンミュージックプロダクション。そして、男性アイドル界に絶対的な帝国を築きつつあったジャニーズ事務所。両社の関係は、この一件で極度の緊張状態に陥った。
当時の芸能プロは、所属タレントのイメージを守るためにメディアとの間で熾烈な情報戦を展開していた。会見のセッティングから記事のトーン調整に至るまで、舞台裏では幾重もの政治的駆け引きが繰り広げられた。個人の感情がどれほど純粋であろうと、エンターテインメントが巨大ビジネスである以上、企業論理という冷徹な壁がふたりの前に立ちはだかったのは必然だった。