ネット上のまとめ記事やSNSでは、彼女に対して「度重なる炎上で声優界から干された」「芸能界を追放された」という論調が長年繰り返されてきました。しかし、演劇ジャーナリズムの現場視点から検証すると、この言説には明確な事実誤認が含まれています。
確かに、2011年のスキャンダル以降、深夜アニメの主役級キャラクターを連続して演じるような露出は激減しました。しかし、それは業界から制裁的に排除されたというよりも、平野綾自身のキャリアシフトによる選択の比重が極めて高かったのが実情です。
彼女は幼少期から舞台芸術への強い憧憬を抱いており、過酷なバッシングを経験したことで、ファンの刹那的な人気に依存するアイドル声優のあり方に限界を感じていました。オーディションを実力で勝ち抜き、帝国劇場の『レ・ミゼラブル』エポニーヌ役に抜擢された後のミュージカルの評判は演劇界内外で極めて高く、2017年には権威ある第42回菊田一夫演劇賞を受賞しています。興行の世界において、彼女はチケットを確実に売ることができる数少ない本物のミュージカルスターとして、プロデューサー陣から高い信頼を勝ち得ていたのです。