購入したスリーブにカードが収まらない現象に直面したとき、多くの人は「個体差の不良品を引いた」と考えがちです。しかし、その背景には印刷業界とグッズ制作現場における明確な規格のズレが存在します。
推し活・コレクション情報メディアの取材記録や現場の検証データでも指摘されている通り、日本国内で流通するポストカードには大きく分けて2つの規格が混在しています。1つは日本郵便が定める通常はがきサイズの「100×148mm」、もう1つが国際標準や同人印刷、美術展の図録カードに多く見られるA6規格の「105×148mm」です。
高さはどちらも148mmで共通しているため目視では判別がつきにくいものの、横幅には5mmの明確な差があります。一般的な「ポストカード用ピッタリサイズ」と銘打たれたスリーブは、はがき規格にタイトに合わせた「幅102mm〜103mm」で設計されているケースがほとんどです。ここに横幅105mmのA6サイズカードを差し込もうとすれば、物理的に突っかかり、強引に入れると側面の圧着部(サイドシール)が破断します。
さらに見落とせないのが、近年の特典カードに多用される「紙の厚み」と「特殊加工」です。300kg以上のヘビーオンスファンシーペーパー、マットPP加工、さらには厚盛箔押しやホログラム加工が施された限定品は、標準的なはがき(厚み約0.22mm)の1.5倍から2倍近い厚みに達します。平面サイズが100×148mmであっても、厚みによってスリーブの内寸が奪われ、結果として「まったく入らない」という事態に陥るのです。