多くの利用者が「食べ放題なのになぜ最初から大量の料理が出てくるのか」と憤りを感じますが、飲食業界の収益構造から見れば、これには明確な経営上の理由があります。ここで、一般に知られていない3つの盲点とネット上の誤解を解き明かします。
第一の盲点は、「炭火焼き」という表記の解釈です。景品表示法上の問題にならない範囲で、海外の提携工場で製造される際に一度炭火で表面を焼成し、急速冷凍した串を店舗のガスグリラーやマイクロ波オーブンで再加熱して提供するケースが少なくありません。「炭火焼き鳥=店内で職人が備長炭を使って生肉から焼いている」と思い込むのは、3,000円以下の激安帯においては危険な誤解です。
第二の盲点は、「時間制限と焼き時間の物理的ギャップ」です。仮に店内で生肉から真面目に焼いている優良店であっても、焼き鳥は1本焼き上げるのに通常8分〜12分を要します。席時間が120分(ラストオーダー90分)の場合、厨房の焼き台(グリラー)の面積には物理的な限界があるため、満席時にはどうやっても提供に15分〜20分のタイムラグが発生します。「注文してもなかなか来ないのは店が意地悪をして出し渋っているからだ」とネット上で批判されることがありますが、実際には焼き台のキャパシティオーバーが原因であるケースが大半を占めます。
第三の盲点は、「先出しノルマ(スターター制度)とフードロス対策の表裏一体」です。鳥貴族の「トリキ晩餐会」でも、最初にスピードメニューや貴族焼、つくねなどの「おすすめセット」が提供されます。これは客の空腹を素早く満たして焼き台の混雑を緩和すると同時に、原価率の低いメニューと高いメニューをバランスよく消化させるための合理的なオペレーションです。問題は先出しの有無そのものではなく、「先出しに炭水化物(チャーハンやパスタ)や大量の揚げ物を混ぜて、意図的に焼き鳥を食べさせないようにする悪質な店舗」と「焼き鳥を美味しく楽しむための適正なスターターを出す健全な店舗」を見分けられるかどうかにかかっています。