物語の舞台として描かれるのは、あまりにも異様な街並みだ。極寒の風が吹き荒れるカナダの都市ウィニペグ。そこに、ペルシャ語の看板やイランの路地裏を思わせる文化的な風景が見事に溶け合っている。地理的にも歴史的にも隔絶されたはずのウィニペグとテヘランというふたつの都市が、ひとつの画面の中で自然に同居しているのだ。
この狂気とも言える美術設定は、スタジオでの巨大セット構築と徹底したロケーション選定によって実現した。どこか殺伐としながらも不思議な温かみを感じさせる色彩設計。テヘランの記憶とマニトバ州の雪景色が交差するヴィジュアルは、一見の価値がある。