作者である冨樫義博氏の卓越した作術は、バトル直前の緊張感を高める演出において遺憾なく発揮されています。
『暗黒武術会編』における戸愚呂弟は、筋肉操作によって80パーセント、そして「100パーセント中の100パーセント」へと肉体を異形化させていく「肉体美と暴力の極致」として描かれます。対する蔵馬は、植物を操り知略で戦う「優美さと冷徹さ」を兼ね備えたキャラクターです。
対極に位置する2人が戦うのではなく「前夜に言葉を交わす」この場面において、冨樫氏はあえて日常的な単語である「トリートメント」を導入しました。異様な緊張感の中に突如として放り込まれる異質な言葉が、かえって戸愚呂弟の人間離れした異様さを際立たせるという、天才的な演出手法が光っています。