大槻班長の真骨頂は、人間の欲望と弱さを完璧に見抜く心理誘導にあります。その最たる例が、地下に送られてきたばかりのカイジに仕掛けた「ビールと焼き鳥の誘惑」です。
過酷な労働で乾ききったカイジに対し、大槻は「初給料のお祝い」と称してキンキンに冷えた缶ビール(アサヒスーパードライ)を無償で奢ります。一口飲むだけのつもりが理性を吹き飛ばされたカイジは、自制心を失って自ら追加のビール、焼き鳥、ポテトチップスを次々と購入。「今日だけ贅沢して、明日から節約して貯金すればいい」という甘い誘惑に屈し、支給されたばかりの給料を一晩で使い果たしてしまいました。
この罠によって給料を前借りせざるを得なくなった債務者は、翌月の支給額が半減する地獄の「45(ヨンゴー)組」へと転落します。45組となったカイジたちからさらに高利でペリカを巻き上げる大槻のシステムは、資本主義の縮図とも呼べる冷徹な支配構造でした。