なぜ世界は葛飾区山本亭を絶賛するのか?名庭園と和洋折衷美の深層

なぜ世界は葛飾区山本亭を絶賛するのか?名庭園と和洋折衷美の深層

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山本亭の敷地内に足を踏み入れると、まず目を奪われるのが伝統的な木造平屋建ての書院造を基盤とした主屋です。長屋門から玄関、そして客間へと続く空間には、研ぎ澄まされた数寄屋風の意匠が随所に散りばめられています。明かり障子の繊細な桟の割り付けや、天井の造作、庭園を一望できるガラス窓など、大正から昭和初期の職人技の粋が集約されています。

この邸宅を唯一無二の存在たらしめているのが、和風主屋の奥に突如として現れる洋間、通称「鳳凰の間」です。一歩足を踏み入れると、そこには寄木細工の床、大理石のマントルピース、天井の漆喰レリーフ、そしてステンドグラスが施された瀟洒な空間が広がります。照明器具や窓の金物ひとつに至るまで、当時の西洋アール・デコやアール・ヌーヴォーの潮流を取り入れた極めて洗練された意匠が残されています。

関東大震災以降、日本の近代建築では耐震や機能性を求めて洋館を併設する近代和風建築が台頭しましたが、これほど高密度に和と洋が破綻なく融合した実例は極めて稀少です。その高い文化財的価値から、山本亭は東京都選定歴史的建造物および国登録有形文化財に指定され、建築史の観点からも貴重な資料として見学者を魅了しています。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。