空港の預け入れ現場で最も頻繁に荷物を開けさせられる原因が「危険物・禁止品の混入」です。特に社会問題化しているのがモバイルバッテリーの受託手荷物混入トラブルです。
なぜモバイルバッテリーを預け荷物に入れてはいけないのか。その理由は、内蔵されているリチウムイオン電池が衝撃や圧力、ショートによって「熱暴走」を引き起こし、1,000度を超える高熱で突発的に発煙・発火するためです。航空機の貨物室は飛行中に乗員が直接立ち入ることができず、一度火災が発生すれば自動消火システムでも鎮火が困難になり、旅客機の墜落という壊滅的大事故に直結します。そのため国土交通省および国際民間航空機関(ICAO)の保安基準により、リチウムイオンバッテリー単体およびモバイルバッテリーは受託手荷物への預け入れが全世界共通で完全禁止されています。
「うっかりスーツケースのポケットに入れたまま預けてしまった」場合、インライン・スクリーニング(X線自動検査装置)によって高確率で検知されます。荷物は即座に隔離され、持ち主が搭乗口で呼び出されて手荷物の開披検査を求められるか、最悪の場合は保安上の判断により当該手荷物が搭載されずに航空機だけが出発する事態に発展します。
モバイルバッテリーは必ず「機内持ち込み手荷物」としなければなりません。なお、持ち込みにも定格容量(ワット時定格量:Wh)の制限が存在し、100Wh以下(一般的なスマートフォン用)であれば個数制限なし、100Whを超え160Wh以下の大型バッテリーは最大2個まで、160Whを超える超大容量モデルは持ち込みすら禁止されています。
一方、液体物の持ち込み制限については「国内線」と「国際線」でルールが完全に逆転するため、混乱する利用者が後を絶ちません。
- 国内線:お茶や化粧水などの液体物は、預け荷物に入れることも、保安検査場で検査を受ければ機内に持ち込むことも自由(アルコール度数70%超の危険物を除く)。
- 国際線:機内持ち込みは「100ml(g)以下の容器に入れ、容量1L以下のジッパー付き透明プラスチック袋に収めたもの」に厳格制限。しかし、受託手荷物(預け荷物)であれば、スーツケース内に100mlを超える化粧水、香水、ワインボトルなどを入れて預託することが可能です。
国際線を利用する際、100mlを超える化粧品や飲料を誤って手荷物に入れて保安検査場へ向かうと、その場で全量破棄を命じられます。大容量の液体類は、確実に緩衝材(プチプチ等)で密閉包装した上で、預け入れスーツケースの奥深くにパッキングするのが鉄則です。