インターネット上の掲示板やSNSでは、「広島の天気は瀬戸内気候だから年中カラッとして穏やか」「南部が晴れていれば北部も似たようなもの」という言説が散見されます。しかし、現場の気象観測データはそうした楽観論を完全に覆します。
広島県の地形は、北部に標高1,000メートル級の山々が連なる中国山地を抱え、南に向かって階段状に傾斜しています。この地理的障壁により、日本海側から流れ込む筋状の雲は北部に滞留しやすく、広島南部と北部の天気の差は同一県内とは思えないほど拡大します。実際に、広島市内で青空が広がっている時間帯に、庄原市や三次市では冷雨や濃霧に包まれる現象は日常茶飯事です。
さらに見落とされがちなのが、世界遺産を擁する宮島・厳島神社の週間天気における特殊性です。島嶼部特有の海陸風が吹く宮島周辺では、満潮時刻と南寄りの強風が重なった際、潮位の上昇とともに体感温度が急激に低下します。潮風にさらされると実際の気温より3℃以上寒く感じるケースが多く、市内中心部の感覚で薄着のまま渡海した観光客が、あまりの寒さに現地で防寒着を買い求める姿が頻繁に観察されています。