幕末の攘夷とは?外国人排除から開国・倒幕へ急変した真相を完全解剖

幕末の攘夷とは?外国人排除から開国・倒幕へ急変した真相を完全解剖

幕末の攘夷とは?外国人排除から開国・倒幕へ急変した真相を完全解剖の疑問点について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

歴史学習者やネット上の言説で最も混同されがちなのが、尊王攘夷と倒幕運動の違い、そして「なぜ攘夷派が突如として開国派になり、倒幕へ向かったのか」というパラドックスです。この疑問を解く鍵は、幕末期に志士たちが辿り着いた「小攘夷(しょうじょうい)」から「大攘夷(だいじょうい)」への概念の進化にあります。

下関戦争や薩英戦争を経験する前の志士たちが叫んでいたのは、「今すぐ横浜や長崎の異人を斬り捨て、外国船を打ち払え」という視野の狭い小攘夷でした。しかし、列強の軍艦と最新式ライフル銃の破壊力を前にして、この方針が国家の破滅を招く自殺行為であることを悟ります。そこで彼らが到達したのが以下の論理的再構築でした。

【大攘夷という名の戦略的進化】
真に国を守る(攘夷を果たす)ためには、一時的に国を開き、欧米から進んだ科学技術・軍事力・法制度を徹底的に学び取らなければならない。そして、列強と対等に渡り合えるだけの国力と近代軍隊を備えたあとに、不平等条約を改正して独立を維持することこそが「真の攘夷」である。

この思考の飛躍により、「開国」は「攘夷の裏切り」ではなく、「攘夷を真に達成するための必須手段」へと昇華されました。

そして矛先は幕府へと向かいます。「朝廷に攘夷を誓いながら、列強の脅しに屈して不平等条約を結び、物価高を放置し、内乱を抑えられない無能な徳川幕府こそが、日本の独立を最も脅かしている最大の障害である」。この認識に至った瞬間、運動のターゲットは「異人」から「幕府」へと完全にシフトしました。尊王攘夷というエネルギーは、旧態依然とした封建体制そのものを解体する「武力倒幕」のエンジンへと完全に生まれ変わったのです。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。