防犯のプロが、一転して侵入者となる。これほど恐ろしい裏切りはない。過去に発生した事例を見ても、現金輸送車からの窃盗や、管理委託されたマンションでの空き巣行為など、内部の人間だからこそ容易に実行できた犯罪が目立つ。鍵とセキュリティコードを手にした人間が牙をむいた時、防犯システムは無力な機械へと成り下がる。
なぜ防げないのか。ALSOKのような大企業では、厳格な採用基準や適性検査が導入されているはずだ。しかし、人の心までは完全にスクリーニングできない。監視カメラの死角を知り尽くしたプロによる犯行は、発覚が遅れる傾向にあり、被害額や精神的ダメージをより深刻なものにしている。