「熱心にケアすればするほど良い」という思い込みは、深刻なトラブルの温床となります。現場取材でも頻繁に確認されるのが、ブラッシングやりすぎのデメリットです。
オーラルケアにおける「オーバーブラッシング(過剰清掃)」は、健康な歯肉をすり減らし、歯の根元にある柔らかい象牙質を露出させます。一度削れてしまったエナメル質や後退した歯肉は、自然治癒することはありません。「力を入れて硬いブラシで磨かないとサッパリしない」という感覚は、脳が強い物理的刺激を清涼感と錯覚しているに過ぎず、医学的には自傷行為に近いリスクを孕んでいます。
ヘアケアにおいても、「1日100回ブラッシングすると美髪になる」といった昭和期からネット上に残る言説は明確な誤解です。乾燥した髪に対して過度なブラッシングを繰り返せば、摩擦熱と静電気によってキューティクルが剥離し、かえって枝毛や切れ毛を誘発します。特に注意すべきは「濡れた髪へのブラッシング」です。濡れた毛髪は水素結合が切れて極めて脆弱な状態にあるため、この状態でのブラッシングは修復不可能なダメージを与えます。