1989年(平成元年)9月、秋篠宮さまとの婚約内定が発表された瞬間、日本中が沸き立ちました。昭和天皇の喪中という異例のタイミングでの発表ではありましたが、沈みがちだった社会の空気を一変させるほどのパワーが、当時の川嶋紀子さんにはありました。テレビは連日彼女の生い立ちや人柄を報じ、文房具やキャラクターグッズまで作られるほどの社会現象となったのです。
なぜ、そこまで人々は熱狂したのでしょうか。それは彼女が、それまでの「お妃候補」のイメージだった名門家系の令嬢とは異なり、大学教授の娘としてごく普通の共同住宅(3LDK)に暮らす、等身大の女子大生だったからです。自転車に乗って通学し、サークル活動に励む姿は、バブル景気に沸く当時の若者たちにとって、最も身近で憧れる存在そのものでした。