ターミナルケアやグリーフケア(悲嘆療法)の専門家は、「死に目に会えなかった」という強い後悔が、通常の悲しみを超えた「複雑性悲嘆」へと発展する危険性を指摘する。死後数か月、あるいは数年が経過しても、「あの時なぜもっと早く向かわなかったのか」と自分を責め続け、鬱症状や体調不良を引き起こすケースだ。
この深い自責の背景には、「臨終の瞬間に居合わせること=愛情の量」という誤った等式が存在する。専門家は強調する。「臨終の数分間や数時間に立ち会えたかどうかで、それまで何十年と積み重ねてきた親子関係の価値が決まるわけではない」。臨終への立ち会いを過剰に神聖化することが、残された者の心を病ませる一因になっていると警鐘を鳴らす。