コロッケのものまねレパートリーの中でも、なぜ『シンデレラ・ハネムーン』はこれほどまでに極端な進化を遂げたのでしょうか。その背景には、1980年代から1990年代初頭にかけて最高視聴率30%超を記録した怪物番組『ものまね王座決定戦』(フジテレビ系)の熾烈なトーナメント構造がありました。
勝ち抜き戦において審査員と視聴者の目を一瞬で奪うため、コロッケは形態模写を極限まで先鋭化させました。岩崎宏美が情感を込めて歌う際の下唇の引き方や顎のわずかな緊張感を抽出し、それを物理的にあり得ないレベルまで突き出す「あご芸」を開発。さらに、原曲(BPM約126)のテンポを徐々に引き上げ、最終的には1.5倍〜2倍近い高速テンポでタップダンスのように激しく踊り狂う独自の構成を作り上げました。
当時を振り返る関係者の証言によると、コロッケ自身も「似せること」の向こう側にある「憑依と誇張のエンターテインメント」を追求した結果であり、岩崎宏美という圧倒的な歌唱力と端正なビジュアルを持つシンガーだったからこそ、そのギャップが爆発的な笑いを生み出したと語られています。