アンタッチャブルとは?タブーの意味や語源から映画・芸人の真相まで解析

アンタッチャブルとは?タブーの意味や語源から映画・芸人の真相まで解析

アンタッチャブルとは?タブーの意味や語源から映画・芸人の真相まで解析についての最新情報をご紹介します。

アンタッチャブルという言葉が背負う背景を紐解く上で、避けて通れないのが「インドの身分制度」と「禁酒法時代のアメリカ」という、まったく異なる2つの歴史的事実です。

1. カースト制度と不可触民(ダリット)の歴史的悲劇

世界史における最も重い語源のひとつが、ヒンドゥー教社会に根付いていた身分制度(カースト制度)の枠外に置かれた階層「不可触民(Untouchables)」です。伝統的な4つのヴァルナ(バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラ)のいずれにも属さず、動物の死骸処理や清掃といった「不浄」とみなされた職務を押し付けられ、上位カーストの人々と接触することすら禁じられていた人々を指します。

インド独立の父マハトマ・ガンディーはこの差別を撤廃すべく、彼らを「ハリジャン(神の子供たち)」と呼び、不可触民出身の法学者ビームラーオ・アンベードカル博士が起草に携わった1950年発効のインド憲法第17条において、不可触民制は法的に全面廃止されました。現代では自称として「抑圧された人々」を意味する「ダリット(Dalit)」という呼称が一般的ですが、国際人権報告書などでは依然としてカーストに起因する社会的偏見や暴力被害が報告されており、言葉の背景には極めて深刻な人権問題が存在します。

2. シカゴの巨悪に挑んだ捜査官たちと1987年映画『アンタッチャブル』

対照的に、この言葉に「不屈の正義」という英雄的なイメージを与えたのが、1930年代の米国シカゴで暗躍したギャングの帝王アル・カポネを追い詰めたエリオット・ネス特別捜査官率いる連邦捜査班です。

当時、警察や司法関係者の多くがカポネの豊富な資金力によって買収されていました。その中で、ネスが集めた少数精鋭のチームは、巨額の賄賂の提示や度重なる脅迫、家族への命の危機にさらされながらも、一切の妥協を拒絶しました。シカゴ・トリビューン紙などの報道機関が、彼らの「金で決して手懐けられない(=賄賂の手が触れられない)清廉潔白さ」を讃えて名付けた愛称こそが「The Untouchables」でした。

この史実を原案として製作されたのが、名匠ブライアン・デ・パルマ監督、ケビン・コスナー主演、ショーン・コネリー共演による1987年の大ヒット映画『アンタッチャブル』です。映画では、法と正義を遵守するために自らの命を投げ出す男たちの壮絶な戦いが描かれ、世界的な名声を得ました。この映画のヒットによって、「アンタッチャブル=手出しできない無敵の存在、神聖な正義」というパブリックイメージが日本でも急速に浸透しました。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。