マイ・ディア・ミスターが人生ドラマと呼ばれる理由|結末と涙の真相

マイ・ディア・ミスターが人生ドラマと呼ばれる理由|結末と涙の真相

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物語の起点となるのは、大手建設会社で構造計算の安全診断チーム長を務めるパク・ドンフン(演:イ・ソンギュン)の元に届いた、差出人不明の「5000万ウォン分の商品券」です。社内の派閥争いに巻き込まれ、身に覚えのない収賄の嫌疑をかけられたドンフン。その商品券を机の引き出しから持ち去ったのが、契約社員として働く不遇の少女イ・ジアン(演:イ・ジウン / IU)でした。

ジアンは、寝たきりで耳の不自由な祖母を抱えるヤングケアラーであり、亡き母が遺した多額の借金によって悪質な闇金業者イ・グァンイル(演:チャン・ギヨン)から執拗な暴行と取り立てを受ける過酷な日常を送っていました。生き延びる金を得るため、ジアンはドンフンの失脚を企む社長ト・ジュニョン(演:キム・ヨンミン)に接近。「ドンフンとその上司をクビにするから、1人につき1000万ウォンを支払え」と取引を持ちかけます。

こうしてジアンは、ドンフンのスマートフォンに盗聴アプリを仕掛け、彼の私生活から職場の愚痴、さらにはドンフンの妻である弁護士カン・ユニ(演:イ・ジア)がジュニョンと不倫関係にあるという残酷な秘密まで、すべてを耳にすることになります。しかし、冷え切った家庭の孤独と理不尽な社内政治に晒されながらも、決して誰かのせいにせず、誠実に重荷を背負い続けるドンフンの生き様を盗聴越しに聞き続けるうちに、ジアンの氷のように閉ざされた心は激しく揺さぶられていきます。

本作の魅力を語る上で欠かせないのが、ドンフンを取り巻く温かな人間関係です。事業に失敗し自己破産した心優しい長男パク・サンフン(演:パク・ホサン)、かつて天才映画監督ともてはやされながら挫折した短気で熱い三男パク・ギフン(演:ソン・セビョク)の「ダメ三兄弟」が繰り広げるコミカルで情に厚いやり取りは、重苦しい物語の最高の清涼剤となります。また、彼らの幼なじみが毎夜のように集まる町のスナックの店主チョン・ジョンヒ(演:オ・ナラ)や、町内サッカーチームの仲間たちが織りなす下町の共同体文化は、現代人が喪失してしまった「隣人への情愛」を鮮烈に想起させます。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。