映画ファンの間で今なお伝説として語り継がれているのが、大ヒットアクション映画『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』で彼が演じた元隠密御庭番衆の頭領、「翁」こと柏崎念至役です。撮影当時、彼はすでに60代後半を迎えていましたが、元御庭番衆の御頭・四乃森蒼紫(伊勢谷友介)と繰り広げたガチンコの格闘シーンは、CGやスタント全盛の現代アクション映画において異彩を放つ生々しさを誇っていました。
若手アクション俳優顔負けの素早い足さばき、鋼鉄のトンファーを振り抜く際のブレない軸、そして吹き飛ばされて壁に激突する瞬間の見事な受け身。現場のスタントチームや共演者たちも、彼の身体能力の高さに息を呑んだといいます。舞踊で培った空間認知能力と、半世紀に及ぶ農作業で鍛え抜かれた本物の筋骨が、フィクションの劇画アクションに「骨が砕け散るような本物の重み」を吹き込みました。
さらに近年では、ヴィム・ヴェンダース監督が手掛けた映画『PERFECT DAYS』において、言葉を交わさずとも主人公の平山(役所広司)と影踏みを通じて心を通わせるホームレスの男を怪演。全身から漂う透明感と哀愁は、まさに彼が掲げる「身体気象」そのものであり、国内外の映画賞や批評家から絶賛を浴びました。