「みかんを食べ過ぎるとどうなるのか」という疑問に対し、医療現場や栄養指導の現場から報告される身体反応は極めて具体的です。軽微な皮膚の変色から消化器系の急性不調まで、短期間に大量消費した際に現れる主要な異変は大きく4つに大別されます。
第1に現れるのが、手のひらや足の裏が鮮やかな黄色に染まる柑皮症(かんぴしょう)です。みかんに豊富に含まれる黄橙色の色素カロテノイドの一種「β-クリプトキサンチン」が血液中に溢れ、皮下脂肪や角質層に沈着することで生じます。痛みやかゆみはありませんが、鏡や他人の視線で異変に気付いて青ざめる人が後を絶ちません。
第2に頻発するのが、みかん食べ過ぎによる下痢と腹痛です。温州みかんの可食部は約86〜88%が水分で占められており、一度に大量に食べる行為は大量の冷水を胃腸に流し込むのと同義です。さらに、みかんに含まれる水溶性食物繊維(ペクチン)の過剰摂取と、腸管内で浸透圧を高める果糖の作用が相まって、腸運動が過剰に刺激されて水様便や腹痛を引き起こします。
第3に挙げられるのが、みかん食べ過ぎによる胃痛や胸焼けの理由となる有機酸の影響です。酸味成分であるクエン酸は疲労回復に寄与する反面、空腹時に多量のみかんを摂取すると胃粘膜を刺激し、胃酸過多を誘発します。特に逆流性食道炎の素因を持つ人の場合、強い酸によって食道下部が刺激され、鋭い胸焼けや吐き気へと直結します。
第4に、栄養素の側面から懸念されるビタミンC過剰摂取の症状と影響です。成人の1日推奨量は100mgですが、みかん1個(約100g)には約30〜35mgのビタミンCが含まれます。水溶性のため余剰分は尿中に排出されるものの、一度に極端な量(数千ミリグラム相当、みかん数十個分)を詰め込むと、浸透圧性の下痢や悪心を引き起こす引き金になり得ます。