高校卒業後、鈴木保奈美は成城大学文芸学部芸術学科へ進学します。成城大学は世田谷区の閑静な住宅街に位置し、映画史や演劇論など芸術・メディア分野の専門教育に定評がある名門私立大学です。表現者としての基礎教養を深めたいという知的好奇心からの選択でした。
しかし、大学生活と並行してスタートした女優活動は、予想をはるかに超えるスピードで軌道に乗ります。1986年のドラマデビュー以降、次々と主要キャストに抜擢され、撮影スケジュールは過密を極めました。
当時、現場とキャンパスを往復する日々が続くなかで、中途半端な状態で通学を続けることへの疑問が生じたといいます。大学中退の決定的な理由は、オファーが殺到して物理的に通学が困難になったことに加え、「中途半端に学籍を残すのではなく、表現の世界に背水の陣で挑む」という強いプロフェッショナリズムによるものでした。この覚悟が、1991年の歴史的大ヒット作『東京ラブストーリー』の赤名リカ役をはじめとする数々の名演へと結実していきました。