銃弾を砕く最強ガラス「オランダの涙」の謎|驚きの原理と粉々の真相

銃弾を砕く最強ガラス「オランダの涙」の謎|驚きの原理と粉々の真相

銃弾を砕く最強ガラス「オランダの涙」の謎|驚きの原理と粉々の真相の全貌を詳しく解説してご紹介します。

最強の頭部と最弱の尾部という極端な二面性は、ガラスの冷却過程で生じる「内部応力(残留応力)」のバランスによって生まれます。この現象を理解する鍵は、表面の「圧縮応力」と内部の「引張応力」の拮抗にあります。

高熱でドロドロに溶融したガラス滴を冷水へ落とすと、まず冷水に触れた外側の層が一瞬で冷え固まります。しかし、熱伝導率が低いガラスの内部は依然として超高温の液状・軟化状態のまま残ります。その後、内部が徐々に冷えて収縮しようとする際、すでにガチガチに固まった外側の殻を内側へ強力に引っ張り込みます。

この結果、外側の表面には「内側から強烈に締め付けられる圧縮応力」が均一にかかり、中心部には「外側へ引っ張られ続ける引張応力」が極限状態で封じ込められます。ガラスの破壊は基本的に「表面の引っ張り」によって微細な亀裂が広がることで起きますが、オランダの涙の頭部表面は極めて高い圧縮応力でガッチリとガードされているため、ハンマーで叩いても外力が相殺され、割れるきっかけとなる亀裂が生じません。

ところが、針のように細い尻尾の部分は冷却速度の差がつきにくく、表面の保護層が極めて薄い構造になっています。ペンチなどで尻尾をわずか数ミリでも折ると、表面の防御壁を破って内部の引張応力ゾーンに傷が到達します。すると、内部に蓄積されていた莫大な弾性エネルギーが一挙に解放され、秒速約1,400〜1,900メートル(音速の4倍以上)という超音速でクラック(亀裂)が全体へと疾走し、一瞬にして爆発的な粉砕を引き起こします。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。