2005年放送のテレビドラマ版(フジテレビ系)は、視聴率平均15.3%、最終回20.5%を記録し社会現象となりました。しかし、実話の記録とドラマ版の間には、テレビドラマとしての演出上、いくつかの重要な相違点が存在します。
最も多くの視聴者が関心を寄せるのが、錦戸亮が演じた同級生「麻生遥斗(あそう はると)」の存在です。調査の結果、原作の手記には麻生遥斗に直接該当する実在の恋人は存在しません。このキャラクターは完全なドラマオリジナル設定です。
当時、ドラマ制作陣が母・木藤潮香さんへ取材を重ねる中で、潮香さんから「亜也は青春時代に恋を経験することができなかった。もし可能なら、ドラマの中だけでも娘に恋愛をさせてあげたい」という切実な想いが語られました。これを受けた脚本家やプロデューサー陣が、「亜也さんの苦悩に寄り添い、彼女の生き様を誰よりも深く理解するパートナー」として麻生遥斗を誕生させたのです。麻生くんが亜也さんの影響を受けて医学部を目指す展開は、多くの視聴者の心を打ちました。
ドラマ各話のエンドロールでは、実際の木藤亜也さんの本人写真と直筆の手記が画面に映し出されました。ドラマのフィクション部分を楽しみつつも、最後の数十秒で「これは今を生きる誰かの本当の命の記録なのだ」と現実へ引き戻される構成が、作品の品格と信頼性を決定づけたと言えます。