競馬界において最も議論され、称賛されるのが金子真人氏の天才的な相馬眼の秘密です。巨額の資金を持つ馬主が最高価格の馬を競り落としても走らないケースが日常茶飯事である中、金子氏は当歳・1歳の段階で歴史的名馬を的確に選び抜いてきました。
当時のインタビュー取材や調教師・育成牧場関係者の証言によると、金子氏の鑑定スタイルにはいくつかの明確な特徴が存在します。第一に「全体のバランスと歩様(歩く姿の滑らかさ)」に対する徹底的な美意識です。筋肉の量だけでなく、関節の可動域や背中のしなり、歩く際の後肢の踏み込みを極めて重視していると伝えられています。
第二に「馬の内面・気性」の観察です。ディープインパクトを選んだ際、金子氏は「当歳(0歳)の放牧地で、他の馬とは明らかに違う軽やかな動きと、澄んだ利発そうな目をしていた」と述懐しています。カタログの血統表だけに頼らず、自らの肉眼で生命力と知性を見極める直観力こそが、奇跡的な打率の高さを生み出す源泉です。